自動生成のニュースビデオは”悪魔のささやき”か
Analyze:記事のエッセンスを理解する⇨Summarize:ビデオプロデューサーのマインドで脚本化する⇨Visualize:それに合うビデオクリップ、写真、インフォグラフィックなどを選んで構成する⇨Voiceover:プロが吹き込んだナレーションを10分以内に届ける。コンピューター音声も利用可能
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記事島田範正2016年07月19日 12:23
迂闊でした。
重要なニュースをスルーしていました。米国の大手新聞チェーン、Tribune Publishing改めTroncのマイケル・フェロ(Michael Ferro)会長が、先月6日のCNBCテレビで述べた内容です。

出演の背景には、TribuneがUSATodayなどを擁する新聞チェーンGannettの敵対的買収をはね除けるため、いかにTribuneを強化するべきかということがあったのですが、その答えとして、社名をTRibune ONline Contentを略した「Tronc」と、オンライン強化の姿勢を明らかにし、自社で「ビデオを毎日2000本作る」という方針を示したというのがニュースになっていました。

「1日2000本」とは途方もない数字ですが、英語力と注意力に乏しい当方、その時は、「まあ、半分ハッタリだろうが、ロサンゼルスタイムスやシカゴトルビューンなどの有力紙や傘下に何十もあるローカル紙の記者全員にビデオカメラを持たせれば、そこそこの数になるんじゃないかな」と勝手に判断しました。そこが迂闊だったのです。

彼は、記者にビデオカメラを持たせて、ビデオを増産するとは一言も言っていませんでした。「AI(人工知能)で可能になる。ビデオが速く作れる」と言ったのでした。

それが夢物語ではなく、現に進行していることを先週のNYタイムズが解説してくれていて、ようやく合点がいきました。
文字で書かれた記事に連動するショートビデオが、時には完全自動に近いプロセスで生成されるというサービスがすでに誕生して、普及しだしているのです。

それを提供するのはWochitとWibbitzの2社です。ともにニューヨークとテルアビブにオフィスを構え、Wochitはロンドンにもあります。両社のサイトに行くと、有名なメディアが相当数、契約していることが分かります。

で、いかに自動的に記事連動のビデオが生成されるのかについても説明があります。<A VIDEO FOR EVERY STORY>と題したWibbitzのサイトには概略、こうあります。

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Analyze:記事のエッセンスを理解する⇨Summarize:ビデオプロデューサーのマインドで脚本化する⇨Visualize:それに合うビデオクリップ、写真、インフォグラフィックなどを選んで構成する⇨Voiceover:プロが吹き込んだナレーションを10分以内に届ける。コンピューター音声も利用可能

素材となるビデオや写真などは、AP、ロイター、ブルームバーグなどのニュースサイトやGetty、WENNなどのデータベースから集めるとあります。

こういう一連の作業を、両社のソフトウェアが、指定された記事について、人間に代わってやってのけるということです。これを採用しているメディアは、両社のサイトに列記されていますが、主なところでは、大手新聞チェーンHearst、USAToday、Time Inc、AOL、CBS Interactive、HuffingtonPost、MSNなどなど、思いの外、広がっているようです。

NYタイムズの記事は、時代がビデオに向かっている中、ビデオに付く広告は収益率が良いこともあるので今後増えるだろう、みたいなトーンで貫かれていますが、翌日、これに噛み付いたのがオンラインメディアVoxの<Why Tronc’s ridiculous plan to produce 2,000 videos a day is doomed>という記事でした。

「doomed」は「絶望的」という意味ですが、ここでは、1日に2000本のビデオを作るのが絶望的に無理、ということではなく、「そんなことをしたら、新聞の未来は絶望的」というトーンです。

どういうことか。Voxは、2011年にIPOを果たし、一時は10億ドル(1000億円)の評価を受けたDemand Mediaの例を挙げます。

同社はちょうど10年前に設立されました。当初から、グーグルのページランクを上げることを最優先に、受けそうなキーワードに合わせた記事をフリーランスのライターを安く雇って大量に生み出し続けました。1本あたりの原稿単価は7.5ドルから15ドルだったそう。当時はContent Farm(原稿農場)などと呼ばれたものです。

狙いは当たり、グーグルの検索結果の上位を占めるようになって、自社サイトeHowなどへのトラフィックが激増、広告単価も上がったのです。大手紙への記事配信さえ行われました。そして、ついにIPOまで。

そこまでは良かったのですが、IPOの数週間後にトラフィックが激減します。「グーグルがアルゴリズムを微調整し、スパムのようなサイトのグレードを下げたからだ」とVoxは書きます。それ以前のグーグルは、1時間もかけずに書き飛ばした安直な記事と、練られた深い記事の区別がつかなかったが、それが修正されたからだそうです。

株価も急落、「その粗製濫造のビジネスモデルが、オンラインコンテンツの未来を代表するものだとは、今や誰も思っちゃいない」とVoxは断言するのです。そして「人々もバカじゃなかった。よくない記事に気づいた」と。

それと同じ轍を、ビデオでTroncは踏むのか、と警告しているわけです。Troncのビデオ大量生成戦略は、DemandMediaのアップデート版に過ぎない、短期間、広告収入が増えるからといって”悪魔のささやき”に乗るんじゃない、とばかりに。

「短期間、キャッチーなタイトルとカバーイメージで、低品質ビデオでも高品質ビデオと同じくらいのクリックを生むだろう。しかしDemandMediaのコンテンツと同様、人々はいつまでも、バカ人間ではいられないはず」

そして、最後はこう結びます。「demandmediaはゼロからのスタートだったが、TroncはLAタイムズやシカゴトリビューンのような高品質ブランドを持っての再スタートだ。彼らの記事を低品質ビデオに詰め込むことは、単に失敗に向かうだけではない。このスパムのようなビジネスモデルは、高品質な新聞ブランドをも汚すことになるだろう」

なんとも歯切れがいいので、批判の引用が多くなりました。とはいえ、広告収入が激減している新聞社にとって、ニュースビデオの前に流れるビデオ広告は、必ず見られることもあって単価が高いのが特徴。そのために、より多くのニュースビデオを人手をかけずに、安く、早く、というのが魅力的なのは間違いないところでしょう。

それが、新聞社の”救いの神”になるのか、Voxが指摘するような”悪魔のささやき”なのかはわかりません。
(記事引用)
 
同じサイトに島田氏が書いた記事は、それを使って書いたものか?

「2か月で41本書いた米インターン記者に感動!」
島田範正 2016年07月26日 11:39
Cadence Bambeneckさん。有力オンラインメディアの一つ、Business Insiderに掲載された<This Snapchat multimillionaire packed up his family to travel the world — permanently>という見出しの記事を書きました。
今をときめくSnapchatの百万長者が幼児2人ともども終わりのない世界旅行に出たというのですから、なんでだ?と興味をかき立てられます。
あなたは他のユーザーがちょうど彼らのスマートフォンのカメラであなたをスキャンし、発見することができ、あなたのSnapchatのアイコンを移入小さな黒い点を知っていますか?
その背後にある技術を設計した男性の一人は、上に今オフになっている彼の妻とその2人の子供との終わることのない休暇。 
取得Snapchat スキャン、同社ギャレットジーは$ 54百万2014年、大学の友人の一握りと共同設立しました。この技術は、Snapcodeに開発されました。
(記事引用)

いまいち良くわからないが、この二つの記事が、内容でリンクしているなら、明日からのネット記事は、飛躍的に激化する。なにしろ文校正の厄介な部分を、理論的なAIプログラムで書き出す作業は人の激務を開放する。また、それが多くの人に親しまれて読まれるという結果が示している。あとは進化の程度問題だ。

リンク
 http://www.kddi-ri.jp/blog/srf/2016/08/12/wapo-6/