キュレーションは生き残れるか?
グーグルを騙し続けたDeNAの罪
『神田敏晶』収集した情報を分類し、つなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有
神田敏晶(ITジャーナリスト)ironna
 上場会社のDeNAが、自社や関連会社で運営するオウンドメディアのキュレーション媒体を全記事非公開化に踏み切ったことは、ウェブメディアのビジネスだけでなく日本のウェブの文化にも大きなインパクトを与えている。キュレーションメディア全体が大きな危機を迎えている現状を分析してみたい。

 DeNAのヘルスケア情報メディア「WELQ」の実情を白日のもとにさらけだしたのが、BuzzFeed日本語版の2016年11月28日の「DeNAの『WELQ』はどうやって問題記事を大量生産したか現役社員、ライターが組織的関与を証言」という記事だ。

 しかし、この記事は、DeNAの現役社員や契約ライターによる社内の秘匿情報の漏洩という側面も知ることもできる。チャット画面などの公開は、果たしてスクープといえるのだろうか。秘匿義務違反や内部通報で社内ルール違反の上にスクープが成り立っているのか。

 ただ、法律を犯す指示をしたとか著作権違反を強要しているのを判断するにはBussFeedではなく、司法の判断だ。BuzzFeedがここまで踏み込んだのは、それをさかのぼる1カ月前、10月28日の「無責任な医療情報、大量生産の闇 その記事、信頼できますか?」という記事にあった。

 10月の段階でBuzzFeedはWELQの問題をDeNAに対して正攻法で取材し、DeNA側は「真摯に対応してまいります」と応えていた。そして、最後に「BuzzFeed Newsは、医療や健康をテーマとしたキュレーションメディアが引き起こす問題を引き続き取材します。WELQに執筆されている方など、関係者からの情報をお待ちしております」と掲載したことが、内部の密告者とコンタクトのきっかけなのだろう。まさにメディアとしての正しい攻め方だ。

 DeNAがこの時点で、真摯にBuzzFeedの指摘に対して、SEO対策としての8000文字もの長文記事を1日100本も掲載することの異常さを感じ、医療情報というセンシティブなメディアに対しての責任感が伴えば、このようなキュレーションメディアの全面閉鎖ということにはならなかっただろう。

しかし、問題はDeNAが謝罪し、閉鎖しただけでは終わらなかった。「DeNAショック」は一気に業界を震撼させ、キュレーションメディアの順次自主的な非公開という対応をとりはじめた。つまり記事の量産化、著作権違反の奨励、写真の無断使用など、同じ穴のムジナとなっている業界なのだ。しかもヤフーの「TRILL」、サイバーエージェントの「spotlight」、リクルートの「ギャザリー」、KDDI子会社のSupership「nanapi」と上場企業のキュレーションメディアばかりだ。

 なぜ、このようなことが起きるのか。日本のIT業界は、歴史の短いインターネット史の中で、同様の失敗を何度も繰り返している。まったく学習機能がオンにならない業界なのだ。

 最初のインターネット・バブル時代は、海外も含めて初めてのバブル経験で、スピード成長とユーザーの抱え込みに問題があった。次は上場で得られた資金でのテレビコマーシャルへの大量投下。ソーシャルゲームの課金ブームが訪れる。そう、2012年の「コンプガチャ問題」だ。

 莫大な利益をあげたコンプガチャだが、2012年に終息してしまう。そして、スマホ活用の「ソーシャルゲーム」へと進化するが、そのゲームも頭打ち。さらに上場会社でも、ヴァイラルメディア(口コミネットコミによって伝染するかのようにひろがるメディア)やキュレーションメディア(多数の情報をまとめ精査することによって新たな価値を生み出すメディア)の有効性に目をつけはじめた。

 Googleなどの検索に効果を発揮するSEO化された記事を量産するために「クラウドソーシング」で安価な素人ライターを獲得し、記事を乱造してPV数を稼ぎ、広告で利益を得るという方法をとる手法が展開をはじめる。このあたりの「上場会社」という社会の公器としての意識がIT業界はまだまだ低い。資金調達のための上場だからだ。

 要するに、キュレーションメディアを乱造させたのは、実はGoogleなのである。Googleが良いサイトだと認識し、検索した時に上位に表示し、そこをユーザーが閲覧し、広告を見て、クリックするという流れが起きる。そこでGoogleは広告主からお金をもらい、メディアには掲載手数料をアフィリエイトとして支払い、自社広告をとるキュレーションメディアはGoogleによる流入をSEOでかさ上げして、広告主から表示数やクリック数に応じた広告費を稼ぐ流れだからだ。

 しかし、この状況を考えてみると、恐ろしいネット上の「サイロ・エフェクト(縦割り化現象)」がもたらされている。
250px-TomokoNambaJI1
 適当なサイトから、クラウドソーシングで働くライターがパクって作成した医療記事が、検索エンジンによりトップに表示され、そこに掲載されている健康食品の広告で商品を購入し、また精査されていないはずの記事を鵜呑みにして、行動を起こす。いつしか、大きな健康被害が発生しても責任の所在地がはっきりしない状況になりかねない。しかも、これらの現象は今起きたことではない、少なくともキュレーションメディアやヴァイラルメディアの功罪は5年以上の歴史があるのだ。その間、GoogleもSEO化されないように、いろいろとアルゴリズムを調整し続けている。しかし、それもイタチごっこであり、常にGoogleに検索されやすい施策を取り続けてきた。それが、個人や中小企業でも参入しやすいキュレーションメディアを買収することによって集積し、拡大させ、資金を投入し、人的な加工でGoogleのエンジンをまんまと騙し続けてトップ表示させて流入を稼ぐ。IT企業を標榜するような企業が、インターネット上に役立たない情報を乱造し続けてきたにすぎないのだ。また「サイロ・エフェクト」はタコツボ現象と訳することができる。組織が高度化し、専門性を高めれば高めるほど、費用対効果を極限にまで追い求める。しかし、そこには組織としての目指すべきヴィジョンやゴールに対しての明確なヴィジョンがないとタコツボ化して前が見えないまま走り続けてしまう。

 もう一度、DeNAのサイトを確認してみた。創業時からDeNAのDNAは「新しいことに挑戦し続けること」「世界に喜びと驚きを」。何かの重要な「コトバ」が足りない気がしてならない。「正しい姿で…」「あるべき姿で」というコトバをDeNAにプレゼントしたいと感じた。

 組織が立ち止まった場合に考えるべき重要なことは、社会に対してのコミットメントだ。そこの意識がないと組織全体が好き勝手に挑戦し続け、好き勝手な喜びと驚きを与えつづけたのかもしれない。

 インターネット登場から20年も経過したのだから、IT業界全体が焼畑農業でなりふりかまわず稼ぐ時代はもう終わった。オトナの組織として社会全体を良い方向に導くために自社がなにをすべきなのかを全社員と意識を共有し、社内リソースを改めてキュレーションしなければならないのだ。
(記事引用)

この一連のDeNA関連筋、一筋縄ではいかないことが判ってきた。それについては次頁で。



敵対する「テレビマニア」?

DeNA取締役会長 南場 智子
履歴 1986年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。1990年、ハーバード・ビジネス・スクールにてMBAを取得し、1996年、マッキンゼーでパートナー(役員)に就任。1999年に同社を退社して株式会社ディー・エヌ・エーを設立、代表取締役社長に就任。2011年に代表取締役社長を退任。取締役を経て、2015年6月、取締役会長に就任(現任)。

DeNA南場会長の夫・紺屋勝成氏が死去”
元USEN取締役の紺屋勝成(こんや・かつなり)氏が12月5日に53歳で死去

画像説明 2013年12月、ディー・エヌ・エー(DeNA)本社を見学に訪れたバイデン米副大統領(中央)、ケネディ駐日米大使(左)を案内する、同社創業者の南場智子取締役(代表撮影)

★ライブドア・USEN提携記念「インチキ企業USENの後ろ暗い企業体質」
 テレビマニア
昨日、ライブドアと有線放送大手のUSENの提携(=ライブドア救済)が発表されたが、USEN(旧・大阪有線放送社→有線ブロードネットワークス)の後ろ暗い企業体質については、全く触れないかさらっと流す報道が多かった。

昨日の日刊ゲンダイは、相変わらずUSENをヨイショしていたが、USENが欲しいのは「ライブドアブログ」の顧客だけではないか、という見方も記述。今日の日経産業新聞は、大阪有線時代の電信柱無断使用や、同業者・キャンシステムとの訴訟合戦について少し触れていた。

先日、「日刊アルバイトニュース」(現「an」)などで有名な学生援護会と、USEN宇野社長が設立したインテリジェンスとの合併が発表され、ますます事業拡大のUSENグループ。企業体質が一新されるのは、いつになるのだろうか。
過去に書いた記事を再掲します。

*****

2004/10/23★ホークス買収を表明した有線ブロードネットワークスの「違法行為」
ソフトバンクに続き、福岡ダイエーホークス買収に参入したIT大手の「有線ブロードネットワークス」(注・2005年3月1日「USEN」に商号変更)。元々は、「大阪有線放送社」として、宇野元忠(于元忠)が大阪で創業した有線放送の会社である。
今年5月。USENが、ライバル会社であるキャンシステムを「キャンはもうじきつぶれます」など、営業妨害と取れる虚偽の情報を流し、しかも不当な割引で顧客を獲得していた、という事件が明らかに。
日本の有線放送(音声放送)は、USENの寡占状態(8割強)で、キャンなどライバルにもならないはずなのだが、加入者離れによっぽど焦っている様子。昨年7月には、キャンから大量の社員引き抜き工作を行なっている。

USENは創業以来、電力会社や電話会社が保有している電柱に、勝手に有線放送ケーブルを敷設し、訴えられると撤去するが、しばらくしたら再敷設、といういたちごっこを繰り返す。
創業者が死亡し、1998年に就任した現社長・宇野康秀(創業者の息子)の代になってからは、電柱保有者と和解し使用料を払っているが、不法に占拠した事実は消えない。
各地の有線放送会社を買収し、1980年代に全国制覇。「全日本有線放送大賞」(現「ベストヒット歌謡祭」)を主催し、”有線チャート”といえば普通はUSENを指す。フジテレビ「HEY!HEY!HEY!」など、キャンのチャートを使用しているところもあるが少数派。

USENは、音楽チャンネルのほかに、ラジオの再送信も売り物の一つだった。NHKの語学放送を無断で再編集・再送信してNHKから訴えられたり、在京在阪ラジオ局を、局の同意無しに24時間そのまま再送信したりしていた。

現社長の代になってからは、ラジオ局と再送信について、放送エリア内の”難聴取対策”(USENのプログラムには”難聴対策”と書いてあった)として合意、放送エリア外の再送信は取りやめた。

番組スポンサーのことを考えると、契約違反になるので再送信中止は当然なのだが、それまでは、在京AM3局や大阪の毎日放送、朝日放送、名古屋の東海ラジオは全国で聴けたので、通常では放送が聴けない地域のリスナーには好評だった、という話も。現在も、一部のラジオ局については、許可を得て全国向けに再送信している。

USENは現行の有線放送ケーブルを破棄し、代わりに光ファイバーを敷いてFTTHに移行、従来の音声放送は通信衛星経由(従来も有線ケーブルが敷けない地域は衛星経由)に移行中。しかし、エフエム東京系の「ミュージックバード」同様、衛星放送も苦戦中。
FTTHも、NTTの大廉売攻勢に対抗できず。カラオケ事業も伸び悩み、景気低迷、経費削減で有線放送の解約も増え五里霧中状態。それで違法行為に走る営業所(以前は”放送所”と言った)や営業マンが増加。エイベックスと提携したり将来を模索しているUSENだが、先の見えない会社である。
大赤字必至のプロ野球団経営など無理に決まっている。売名目的での参入表明はやめて欲しいものだ。

※追記
その後すぐUSENはホークス買収から撤退、ホークスはソフトバンクへ。2005年10月には、横浜ベイスターズ買収に意欲を見せたことも。

*****

2005年05月18日★インチキ会社「USEN」に売られてしまう「日活」がストライキ決行
今朝のスポーツ報知に短く、「日活、明日ストライキ」という記事が。
親会社のナムコから、有線放送最大手のUSENに売却される方向になった映画会社・日活会社に不信感を抱く「日活労働組合」が、明日17年ぶりにストライキを決行する。
日活労組のサイト。「日活への新たな資本参加には全て反対なのか?」という問いに対し、「今回浮上した(株)USENが、財務状況と企業体質を独自に調査した結果、日活にとって良いことではないと判断したからです」と記述されている。
最近、「新興IT企業」のような感じで持ち上げられているUSENだが、元はといえば大阪発祥の有線放送会社「大阪有線放送社」。
全国の電柱に勝手に有線ケーブルを敷設して業務を拡大し、ラジオ局の放送を無断で全国に再送信したり、ライバル会社の営業妨害を日常的に行なうなどのインチキぶりは、過去に何度も報じられてきたが、社長が二代目になり、企業名称が変わっても企業体質は昔のまま。最近は、光ファイバー事業の悪質勧誘が問題視されている。

昨日の日刊ゲンダイには、「USENが日活買収に続きWOWOWも買収か」という観測ヨイショ記事が。USENがプロ野球参入を表明した昨年10月には、一面でUSENを「虚業会社」とこきおろしたゲンダイなので信用できないが、勘弁してほしい話である。
ちなみに、USENのライバル有線放送会社の「キャンシステム」は、ヤフーBBに番組を提供することになり、いずれはソフトバンク傘下になるような気がする。
USENの社員は、私が見た限りでは、約束も守れないようないい加減な社員が多く閉口した。こんなインチキ会社に売られてしまう日活の皆さんが哀れでならないが、USENへの売却がなんとか白紙撤回されることを祈るばかり。

*****

2005年07月05日★USENとキャンシステムの泥仕合
読売新聞「違法サービスで損害、USENが同業者を提訴」によると、有線放送最大手のUSEN(旧・大阪有線放送社)は、同業のキャンシステムが、無届けで引いたケーブルを使い違法営業を行なっているので損害を受けている、と提訴。キャンは、USENに営業活動を妨害されている、との理由で提訴。泥仕合の様子である。
過去に電力会社やNTTの電柱を無断で使用し、全国各地に違法ケーブルを張り巡らせたUSEN。

大阪有線時代には、NHKや民放の番組を局に無断で再送信し、各局から訴えられる。創業者社長が死去し、現社長である息子が引き継いでからも「キャンはもうすぐつぶれます」と言って営業妨害したり、開業時のヤフーBBのように強引な勧誘で光ファイバーの営業をしている。
違法ケーブル問題は、電力会社などに使用料を払う、ということで解決したが、過去の悪行を棚に置いて「無届け若しくは不正確な届出のまま違法営業を永年継続していることにより当社が被った損害の賠償を求める」とは笑わせる。違法ケーブルを放置しているキャンもマヌケだが、所詮「目くそ鼻くそを笑う」レベル。
こんなUSENに、ソフトだけ買い取られて捨てられる日活が不憫。2005年8月、USENは日活買収を断念。※追記

※後記
このUSENに関する内容記事は、日活買収劇をみても11年前であり、またUSENが、その当事あちこちでトラブルを起こしニュースになったことは、記憶している。

その頃、東電電柱を無断借用した問題で、私もその記事を書いたことを思い出した。
それから11年の月日が経過しているが、まったく忘れていたニュースであり、また社会的には殆ど人目にふれるようなサイズ報道ではなかった。
いま考えてみれば、その昔の企業体質がほとんど残存していて、立っている電柱の配線から電気を盗むやり方は、幼い頃みた「テキヤ」テントの常道で皆がやっていたのを覚えている。もっとも昔の配電盤メーター設置を考えたら、やるに任せていたほうが安上がりだったことも推定できる。

昭和30年代の社会風景は、それが一般的だった。その時代の推移で再びスポットライトを浴びるというのは、やはりその世界にしか生きられないという系統なんだろう。

それにしてもこのニュースの事件性、急転直下というべきか、アメリカトランプ大統領選の意外性、さらに韓国大統領弾劾という前例のない歴史的事件は、この「DeNA」の失態は、誰かの策略に嵌められた、という見方もできるが、それを裏付ける、また調査している、という話はない。したがってこれは単なる憶測でしかないことを申し添えておく。