放送作家の「表と裏」
西原健太郎  2016年12月06日 13:22 blogos.com
BLOGOSでこのコラムをご覧の皆様。初めまして!わたくし、ラジオ業界で『物書き』の仕事を生業としております、西原健太郎と申します。 

この度は、古くからの友人である編集長の田野さんからの依頼で、このコラムを書かせていただくことになりました。『世間的には全く知られることのない存在』である自分ですが、この度『自分自身の名前で何かを表現する場所』をいただけたことに感謝しています。書くからには何かしら『読む人の心に残るもの』…を心がけ、執筆して参ります。宜しくお願い致します。 

さて、先ほど書きましたが、私、西原健太郎は、『世間的には全く知られることのない存在』だと自分自身でも認識しています。「職業は何か?」と聞かれれば、「放送作家」と答えるようにしているのですが、世の中に数多く存在する、’’煌びやか’’な放送作家の皆さんとは違い、どちらかというと数々の現場で、『裏方の仕事』として様々な文章を書いたり、演出をしたりするのが私の仕事です。 

現在の仕事は、主に『声優』と呼ばれる人達がパーソナリティを務める、ラジオ番組の構成を担当しています。プロとして放送作家活動を始めてから、今年で17年目になります。17年の間、様々な番組を担当させていただきました。 

それらの番組の中には、もしかしたら皆さんがよくご存知の番組もあるかもしれません。でも、それらの番組の放送作家が誰なのかは、ご存知ない方がほとんどだと思います。それもそのはず。番組の中で私は極力『表』に出ず、自分の存在を消し、『裏方に徹している』からです。だから番組はご存知でも、私の事をご存知の方は、ほとんどいらっしゃらないと思います。 

そして、私とは対極の存在。自ら進んで『表』に出て、自分を表現する放送作家も存在します。そこで、初回である今回は、『表に出る放送作家と裏方に徹する放送作家』について、自分の思うところを書いてみようかと思います。 

放送作家という職業は、仮に10人放送作家がいたら、全員違うスタイルで仕事をしています。放送作家という仕事に対する考え方も全員が違うでしょうし、そもそも放送作家という職業は『資格』というものが存在しないので、「自分は今日から放送作家だ!」と宣言してしまえば、誰にでもなれてしまいます。でも、全ての放送作家を仮に二つに分けるとすると『表に出る放送作家』と『裏方に徹する放送作家』に分けることができると思います。 

『表に出る放送作家』は、自分自身のネームバリューで勝負していこうとする作家です。番組中に自分の名前が登場したり、番組内で自分の存在を出していくことを良しとします。時には自分自身が作家としてマイクの前に立つこともあるでしょう。 

また、自分自身の名前でSNSをやったり、対外的に放送作家である自分をアピールしていくのも、『表に出る放送作家』の特徴です。でも、ここで勘違いして欲しくないのは、私は『表に出る放送作家』という存在を否定しているわけではないということです。 

先ほども書きましたが、放送作家が10人いれば、10人違う価値観があります。『表に出る放送作家』は、自らの名前を前面に出すことで、番組に対しての責任を負うことになりますし、SNSをやっていれば、番組への批評の受け皿となることもあるでしょう。 

そして、そのリスクと引き換えに、番組=放送作家というブランドを築くことができます。名前を内外に知らしめることで、新たな仕事の依頼が舞い込むこともあるかもしれません。 

対して『裏方に徹する放送作家』は、番組において、極力自分の存在を消します。ラジオ番組では、演出のスパイスとして『作家笑い』というものを番組内に入れることがあるのですが、『裏方に徹する放送作家』は、笑い声を入れることはあっても、積極的にパーソナリティに話しかけたりはしません。 

それは、『ラジオ番組はパーソナリティの声を聞きたい人が聞いている』と思っているからであり、その中で作家の存在は邪魔になると考えているからです。もちろん『裏方に徹する放送作家』にもデメリットはあります。存在を消しているので、仕事の成果を実感しにくかったり、仕事に対するモチベーションを保つのが難しかったりします。 

『表に出る放送作家』と『裏方に徹する放送作家』。どちらにも一長一短があるということです。このコラムを読まれている方は、どっちの放送作家が作る番組が好みですか? 

ところで、今回私はこのコラムを書くことで、ある意味矛盾を抱え込むことになります。裏方に徹するはずの自分が、自らの名前でコラムを執筆する…いわば表の世界に出ていくことになるわけです。ですが、本来裏方である私だからこそ、何か表現できることもあるのではないかと思い、今回コラムを書かせていただく決心をしました。 

今後は、ある種の矛盾を抱えながら、矛盾から生まれる世界を表現していければと考えています。今後とも何卒よろしくお願い致します。
(記事引用)

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