挑戦を続ける真田広之、「倒れたところがゴール」
ORICON NEWS 2017年7月1日 8時40分
2003年に『ラストサムライ』でトム・クルーズと、そして2013年には『ウルヴァリン:SAMURAI』でヒュー・ジャックマンと共演するなど、ハリウッドで活躍中の真田広之。国際宇宙ステーション内で起こる惨劇を描いた最新出演作『ライフ』(7月8日公開)では、システムエンジニアのショウ・ムラカミ役で出演をしている。米アカデミー新会員にも招待され、世界で挑戦を続けている真田が、ハリウッドの撮影秘話や全編英語での芝居の難しさなどを語ってくれた。

【画像】ラストサムライ
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■英語力、体力、精神力…俳優として高度な技術を要求されるハリウッドの現場

 真田が演じたのは国際宇宙ステーション(ISS)に集結した6名の宇宙飛行士のうちの一人。物語は、宇宙飛行士達が無人探査機を回収するところから始まる。無事に回収し、火星で採取した土壌から地球外生命体を発見する。真田は今作の脚本を読んで“明日にでも起こりうるお話だと思った”と言う。

 「現実味のある話をストレートに描いていて、シンプルながらも非常に深いメッセージのある脚本だと感じました。人類が地球外生命体と初めて向き合った時に、どう対処すべきなのかということも提示しながら、宇宙飛行士達のヒューマンドラマもきちんと描かれています。なかでも僕が演じたショウは6人のクルーの中で唯一、家族のことなどプライベートな部分が明かされていくので、非常に演じがいのある役でした。彼はシステム・エンジニアで最年長のベテランクルーなのですが、更にある程度年齢がいってから初めての子供ができたこともあって、幸せな気持ちと同時に大きな不安も抱えているんです。生きて地球に帰りたいという思いと、任務を遂行しなければいけない責任感との板挟みになりながらも“地球を救う=家族を救う”ことを優先させる。そういった人としての深みという部分が、この役を演じる一番の原動力になっていたように思います」

 撮影現場について無重力を表現するために最長で4時間もハーネスに吊られっぱなしのなか芝居をすることもあったという。体力的な面でもハードだが、そこに全編英語の台詞やシステムエンジニアという特殊な役柄も加わり想像以上に大変だったとハリウッドの撮影現場を振り返った。

 「初めて全編無重力状態のお芝居をする撮影で体力的に大変だったのはもちろんですが、更に台詞を話しながら全てのコンピューターや機材をエンジニアらしく扱わなければいけないという大変さも加わりました。セットがリアルに作られていて全てのスイッチがライトやモニターなどと実際に連動していたので、僕はスイッチを間違えて押さないように必死で(笑)。特に後ろから撮る場合はライトやモニターが全て映りこんでしまいますから、完璧に覚えないといけませんでした。監督はそういうハードな環境にわざと僕らを放り込んで、もがいている姿をドキュメントのように撮っていく手法をとったのではないかと(笑)。そのほうが僕らも集中できましたし、世界に入りやすかったのでとても感謝しています」
■アドリブが飛び交う“世界での仕事”

 今作で医師のデビッド・ジョーダン役を演じているジェイク・ギレンホールは『ブロークバック・マウンテン』や『ナイトクローラー』などに出演している実力派俳優、そして検疫官ミランダ・ノース役のレベッカ・ファーガソンは『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』でトム・クルーズと共演し、同シリーズの新作にも出演するなど注目の女優だ。航宙エンジニアのローリー・アダムス役のライアン・レイノルズは『デッドプール』の制作と主演を務めコメディからアクション、ドラマなど様々なジャンルの作品に出演している人気俳優である。そんな彼らと英語で芝居をした感想を語ってくれた。

 「ジェイクとライアンは過酷な撮影の中でもずっと冗談を言い合っていました(笑)。終始“このシーンでそこまで笑うかな? 笑わせるかな?”といった感じだったのですが、おかげでみんなリラックスできました。その反面、怖いシーンでは気持ちを切り替えて集中して撮影に挑めたので、あえて彼らはジョークを飛ばしてくれていたのかもしれませんね」

 「レベッカとはちょうど撮影中に同じスタジオでトム・クルーズが映画『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』を撮っていて、レベッカも僕もトムと共演しているので、2人で一緒にトムをサプライズで尋ねてみようと話していたんです。でも、なかなかタイミングが合わなくて結局会えずじまいでした。彼女は、チームワークを作る上で要となる存在でした。スタッフやキャストのジョイント役をしながらもストイックに自らの役をこなしていく姿は素敵でしたね。」

 「ライアンは彼は今作の監督とは2度目で、全幅の信頼を置かれていたせいかアドリブも多かったです。そんなわけでジョークを言うシーンは毎回こらえるのが大変なほど本気で笑っていました。彼がアドリブで投げかけたものに対してこちらもアドリブで返さなければいけなかったので、面白さとプレッシャーの両方を味わえました。ショウの子供が生まれてクルーのみんなに紹介するシーンで“それ父親は誰かわかってる?”なんてローリーに言われてショウが“Shut up!(うるせえよ!)”と返すシーンは実はアドリブです(笑)。そういうセッションを楽しむためにも日頃から英語の能力を磨いておかないとダメですね。緊張感がありますし、受験生気分で勉強しています。日頃からレッスンするのも大事ですが、現場で実際に英語を使って芝居をするのが一番の上達方法かもしれませんね」

■「倒れたところがゴール」

  「どこに辿り着きたいというのは今は特に無い、倒れたところがゴール」という真田。今後の目標を聞いてみると、最後はこんな言葉で締めくくった。

 「今までの経験を元に、役の幅、言葉の幅、難度…どこまで守備範囲を広げられるか、ということを続けています。そうしてたどり着いた景色を見て、その時感じた自分の心に従って道を選択していく。“これをやったら本望、卒業”というものはありません。結果の積み重ねでたどり着いたところが終着点。役者は引退のない仕事ですので、倒れたところがゴールだと思っています」

 「僕が初めてロイヤルシェイクスピアカンパニーに飛び込んだのが30代後半で、ロスに引っ越したのは45歳の時。まさに“四十の手習い”で英語を始めました。そうあるべきだと思ったことに従ったわけです。何かを決める時はリスクもありますが、“やりたいことに飛び込んだ自分”と、“飛び込むのを諦めた自分”の10年後を比較してみてどっちがいいか考えました。一度きりの人生、自分を信じるのか信じないのか。環境次第ではありますが、環境作りも自分の仕事です。大変なことも含めて楽しんで欲しいと思います」

(記事引用)





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