黒染(くろぞめ)談義
当社が鉄鋼部品とアルミ、銅合金などの常温黒染剤、鉄鋼部品の加温黒染剤と加温黒染装置、後処理用の防錆剤の販売をはじめてから、もう40年近くなる。
「黒染処理」とそれに必要な「黒染剤」は機械を製造する工程で、必要不可欠なのだが、この工程は、意外と日があたらない場所のような気がする。生産技術部で、「黒染処理技術」担当にお会いしたことはないし、機械加工技術に関する本に、黒染処理工程に言及したものは、ほとんど見当たらない。つまり黒染処理は、職人技で、生産技術とはいえないものかと思っていたら、本文でふれるが、このところ外注依存が多かった黒染処理を自社の生産工程に入れる工場が増えてきた。そこで、この機会に「黒染処理」と「黒染剤」に多少だが、光をあててみようかというのが、この「黒染(くろぞめ)談義」である。
黒染処理概論と気張る気はないし、入門書というほどでもないが、お目通しねがえれば、光栄である。

染料を使わないのにナゼ“黒染?”
展示会の当社小間を訪れた方から、「黒染とありますけど、染料は使わないのでしょう」と素朴な質問を受けたことがある。
加温にしろ、常温にしろ、化学変化で金属の表面を黒くするので、染料を使う染物とは原理的にまったく異なるのだから、質問は至極当然である。
当社の金属処理機器事業部では、創業以来「黒染剤」を製造、輸入して販売しているから、「黒染」とのつきあいは長く、深い。でも、染めるという文字が入っているものだから、ときには「染料」と誤解され、頭髪を黒く染める染料などと混同されたりするのは確かである。
業界には黒染ではなく、「黒化処理」というべきだとの主張もあって、趣旨には大賛成なのだが、「黒染」は百年以上使われている歴史的職場用語で、なじみがあってすぐ分かってもらえる利便さがあるものだから、今すぐ用語を変えるという決断には到らず、不正確表現を承知の上で、使用させていただいている。
当社内でも、カタログ、リーフレットを作り変えるときなど、よく用語についての論議がされる。最近では、「黒染剤」とすべきか、「黒染め剤」とすべきかがテーマになった。「黒染剤」とすると、「こくせんざい」と読まれるから、送り仮名として「め」をつけたほうがいいという説と、発売以来「黒染剤」できたのだから、こんごとも送り仮名なしで行くべきだという保守的建前論がぶつかるのだが、これもなんとも決めかねる問題である。
ともあれ、今回はそんなことは一応棚上げにして、黒染、黒染剤のあれこれについて筆をすすめさせていただく。

何のために鉄鋼部品を黒くするか
『黒染』のニーズからスタートしよう。

錆を防ぐ 加温黒染法では強アルカリ溶液中で、鉄鋼部品を加温酸化して、四三酸化鉄の皮膜をつくるのだが、こうしてできる黒い皮膜は多孔質で、油に浸漬すると、油が黒染層に浸み込んで、鉄鋼本体と、外部の水分、湿気を遮断して、錆の発生を防ぐ。保管される条件にもよるが、マシン油でも、約半年の防錆力があるといわれるが、防錆剤を用いるなら、防錆期間はもっともっと長くできる。
常温黒染剤の黒染層は、四三酸化鉄の皮膜にみるような含油の特性はないから、マシン油では防錆性はほとんどなく、防錆剤を用いなくてはならない。
反射防止 機械部品などがキラキラ光ると作業がしづらいから、光る部分を黒染する。軍隊では、拳銃、小銃、機関銃、大砲に到るまで、外見はもちろん、中の部品もすべて黒染めしたのは、反射を防いで所在を分りやすくするのと、太陽光を反射して敵に所在が分るのを防いだのである。
兵器は刀身を除いて塗装や化学処理ですべて光らなくしたので、旧陸軍の兵器を生産する陸軍造兵廠では黒染工程が多く、「黒染」という職場用語はここで生まれたといわれている。
所在をはっきりさせる (2)の反射防止と逆で、光る鉄鋼製品のなかで、所在を分りやすくするために鉄鋼部品を黒染する。金属の切削加工を行う旋盤で使用するバイト(金属用刃物)を固定するホルダーや、ボルト,ナット、ゲージ類を黒染するのは目立たたせることが目的といえるだろう。
デザイン上のニーズ 黒をポイントにして機械、工具などをスマートに、格好良く、あるいは力強くみせる。つまり、デザイン上の理由によるもので、近年ふえてきた黒染のニーズである。
加温黒染、常温黒染とその他の黒染
現在、黒染には加温黒染と常温黒染があるけれど、歴史的には加温黒染の登場がずっと早く、正確ではないが、日本では100年ほど前、明治後期といわれている。
これに対して常温黒染が、アメリカで開発されたのが1940年代後半で、日本に輸入されはじめたのが、1965年(昭和40年)以降である。
黒染の大先輩、加温黒染は140℃に加熱したアルカリ溶液の中で四三酸化鉄を生成させる方法で、溶液の主成分は苛性ソーダだから、強アルカリ性である。一方新顔の常温黒染は銅をイオン化させた酸性の水溶液に鉄鋼部品を浸漬して鉄と銅を置換させ、セレンなどの酸化剤と銅を反応させて黒くするという置換メッキが原理だから原液は強酸性である。
寸法、精度、仕上げの美しさにこだわらなければ、黒染め方法はほかにも多々ある。ライフル銃の銃身などの、燐酸塩による黒染、いわゆるパーカーライジング法とか、酸素を制約した炉内で加温する方法なども加温黒染に分類されるだろうが、出来上がりが均一で美しい黒色で、黒染による寸法精度に変化なく、しかも設備費も含めた加工コストが低いという点からみて、強アルカリを用いた加温黒染が最右翼で、日本国内を含め世界中で広く採用されている。
一方の常温黒染は処理に熱を用いない、いわゆる省エネなのと、熱くないから、生産ラインに取り込むことができる利点が注目されて、いま、アメリカ、日本、中国で需要がのびてきている。

減少する黒染処理の専門工場―黒染加工の現状とこれから
以前は家内工業的な加温黒染処理工場があちこちにあって、都市部にある部品加工工場の黒染処理はそこへ持ち込めばよかったから、社内での黒染処理を必要としたのは、都市部から遠く離れたところにある工場か、製品の機密保持を必要とする工場だけであった。
しかし、いまは事情が異なる。都市部の黒染処理工場は減少の一途をたどっており、従来の処理工場の閉鎖で、発注先がなくなり、戸惑っている工場も多い。黒染処理工場減少の理由は

経営者が老齢化したのに後継者がいない
長引く不況で処理単価が引き下げられて採算がとれない
というものである。(2)は景気が上向けば、アップも期待できるが、(1)は何とも食い止められない現象である。黒染処理工場の経営者には、以前造兵廠などで黒染処理に従事していた人が、戦後独立開業したというのが多く、この人達はいま年齢的に80才を越している。後継者に引き継ぐといっても、町工場の設備では、一般に換気は悪いし、夏はべらぼうに暑い。いわゆる3K職場だから、就職難の時代とはいえ、後継者が現れないのは、無理からぬといえば無理からぬ現象であろう。
ではどうするか、部品黒染を必要とする生産担当者の悩みは深刻だか、結局は自社内で黒染め加工をするという結論になるのではないか。
一方、現在、自社内で加温黒染加工をしている工場でも多くは、黒染を熱処理と同じように、生産ラインの外、別棟でおこなっている。自前の黒染め処理工場を敷地内に抱え込んだようなものだ。加温黒染めの場合、熱と臭気が発生するから、強力な換気が必要で、タクトシステム、コンベアーシステムに組み込むのは困難だからである。
しかし、できれば、黒染め処理を生産ラインに組み込みたいものだ。
この夢を実現しようと自社開発の加温黒染めの自動機を生産ラインに組み込んでおられる工場も何社かあるから、黒染加工のライン化は決して不可能ではない。ただ、いまのところ、この自動機のコストは高いので、すぐには取り込めないようだが、少しずつでも自動化に踏み切る工場も増えていくのではないだろうか。設備の自動化のほか考えられるのは
加温黒染剤の処理温度の低温化
常温黒染剤の活用
である。
(1)現在の加温黒染の処理温度は140℃だが、これをもっと低温で、できれば100℃以下で四三酸化鉄を生成させるような商品を送り出すべく、加温黒染剤メーカーはいま開発にしのぎを削っている。
(2)の常温黒染剤の活用は、熱エネルギー節約とからめ、またラインへの組み込みが容易な点から、検討される工場も増えてきた。常温黒染剤もまた、量産を妨げていた黒染液に浸漬したときに発生したカスをふき取る作業をなくした改良処理液が登場、ライン化に近づいた。当社の常温黒染剤「インスタブラック333」と長期防錆剤「イーテック505プラス」の組み合わせなど、その先端を行くものと自負している。

再び「黒染剤」「黒染処理」の呼称について
こだわるようだが、「黒染処理」は化学変化で鉄鋼部品を黒くするので、染料で黒く染めるのではないから、「黒化剤」「黒化処理」のほうが、適切だと思う。
アメリカでは、いまは加温、常温は区別せずに Blackeningが一般呼称となっているから、歴史があり、使い慣れた「黒染剤」「黒染処理」ではあるが、黒染処理の自製化時代がはじまるのを機に「黒化剤」「黒化処理」にかえていってはどうだろう。こんどの当社のカタログ製作会議にでも提案してみようと思っている。(K)
(記事引用)


「足 銀」

中国製 宝石入れ「足銀」
■「紋銀」はスターリングシルバーの事。純度92.5%の銀。
■「足銀」は純度99%の銀の事。(99.99%ではない)
貴金属の純度に関しては、その国の歴史や慣習、習慣により基本的に、その国が独自の法律や規格を創っていて規制しています。国によっては、金はK18しか認めない国、純金と言えばK22を指す国、金と言えば純金しか意味が無いという国など様々。この中で例えばイギリスなどの国では「スターリングシルバーは純銀と同じ」と言う事が決めれれている。これは冶金技術がお粗末な時代、純度50%とかが普通だった時代に、純度92.5%という驚くべき精錬に成功したので、これはもう100%と大して変わらないと言う事でそれ以来の法律で決められているもの。
日本製品はそうはいかないけど、日本国内にもジッポーなど海外製品は「純銀SV92.5」とかいう商品が沢山あります。ですので「紋銀=スターリングシルバー=純銀」となります。また中国は、金は純金しか認めないと言うのがお国柄。その為に最低がK22で、純金が「99%」「99.9%」「99.99%」の三種類ある。それぞれ「足金」「千足金」「万足金」と言います。
これが銀など他の貴金属にも適応される。ですので「足金=純度99%=純銀(の一種)」と言う事になる。共に日本国内では99.99%の「純銀」とは認められてはいないですが、その国の法律では「純銀」と言う事になります。
※「足銀」とは調べた結果はそのような中国の規格でした。私もしらなかった。一時期、骨董に熱を上げ、そのとき買ったものです。買ったのはヤフオクでした。中国製は今では工業製品の信頼度も保証されますが、以前は、「メイドインチャイナ」をバカにして直ぐ壊れる代名詞でしたが、いまではそうでもない。この「足銀」は昔の製品ですから真贋判定が難しい。たぶん本物だったら0桁は一つ多くなるでしょう。そこそこの値段(相場価格)だったので流通品と判定しました。しかし装飾は凝っていて中国らしさは漂ってます。好き嫌いがありますので、特別興味のある方、限定のお勧め品です。
背景には他の龍や虎やカルラとか首飾り(ミャンマー)がありますが、今回は手前の「足銀宝石箱」のみです。
IMG_0140
中に気に入ったものがあれば指定してメールください。随時販売いたします。
今回限定販売品 「足銀」
サイズ・125×45×45㎝ 重量495g
価格6850円+送料込み1000円=7850円