国家屋台骨の巨大企業の税金について一考
この本のセールス文句と捉えれば、特段騒ぐこともないが、それにしてもソフトバンクの納税500万というのは、やはり、ウムムとなるし、ではカラクリはどうなっているのか、と知りたくなる。

これに対して反論意見も出ていて「これは同グループの持ち株会社であるソフトバンク単体のもので、同社を含む売上高6.6兆円の巨大コングロマリット全体の納税額ではない」
と否定する。

それにしてもソフトバンク売上高6.6兆円、と訊かされて、日本にはそれと同等の法人がゴロゴロいるはずで、そこから高額税収したら、一般平民の税負担率と、年金生活者の自殺率が下がると予想するが。

安倍さん~、どうなんだろうか。おまじない手品増刷ばかりしていると、かちかち山と泥船は、あっけなく沈没、というのが筋書きと決まっていんだが。

記事には「法人擬制説」と「法人実在説」とが出てきて、会社組織を法人とみなし、それを人格とみたてたやり方で、税をとる、というのが通説となっている。それは商法でもきっちり書いてあるはずだが、その法人を擬似、すなわちバーチャルとみるか、実在する人間とみたてて税を掛けるか、というのが争点となっているようだ。

なにを今更と、疑心暗鬼してしまうが、実際の現場では、そうしたあやふやな解釈のままで所得税算出していのだろう。そうなると500万円というのもうなずける。

なにしろ税計算はややこしい。また頻繁に改定されるので、年度によって税率がことなり、延べ年数になると、ますます複雑になる。 そういえばどこかの企業が税の摂られ過ぎだ、と訴えて、それが承認されかえってきたというニュースがあった。プロの税務、財務省、国税庁、国税局の所員でも間違いをやらかす複雑な税法である。

富岡幸雄著 『税金を払わない巨大企業』 
著者インタビュー
PRESIDENT   2014年11月17日号
著者 西川修一=文 石橋素幸=撮影
税務会計学の創始者であり、御年89歳を数える富岡氏。

かつて中曽根内閣当時、売上税導入に真っ向反対の論陣を張り、その廃案に一役買ったという同氏が「遺言のつもりで書いた」という本書は、グーグルほかグローバル企業の節税手法や富裕層への優遇ぶりを盛り込みつつ、「大企業が法人税を真っ当に支払っていれば、消費増税の必要ナシ」と明快に主張。発売約1カ月で3万部超という勢いだ。
その一因は恐らく本書の帯にある。「ソフトバンクの納税額500万円」という煽り文句に目を奪われる。
が、これは同グループの持ち株会社であるソフトバンク単体のもので、同社を含む売上高6.6兆円の巨大コングロマリット全体の納税額ではない。ここをあえて混同させている、というのが本書に批判的な人々の見方だ。

一般に完全子会社・関係法人株の配当全額と、それ以外の投資先の配当の50%については、二重課税を避けるために「益金不算入」として課税額から除外される。納税額が少額となるのはそのせいなのでは……。
富岡幸雄(とみおか・ゆきお) 1925年生まれ。中央大学名誉教授、商学博士。横浜高等商業学校(現横浜国立大学経済学部)、中央大学法学部卒業、同大学院商学研究科修士課程修了。国税庁を経て中央大学商学部教授。現在は日本租税理論学会理事、税務会計研究学会顧問。


「法人に法人税を課すことへの疑問」
日の出事務所 落合正博 日の出だより 22年2月号 
 
多くの方々は、法人の稼ぎ出した所得に法人税が課されることに対し何ら疑問をお持ちでないと思います。
ところが、この当たり前に古くから疑問の声があるのをご存じですか?

法人に対し課税されるようになったのは、明治32年です。 「…時恰も日清戦役の終局に際して戦後経営に伴う歳入増加の必要に迫られしを以て、政府は茲に所得税法の全体に互りて改正を行うこと」(明治大正財政史)とされ、法人税は個人が負担する所得税の一種として取り扱われました。昭和15年に法人税は所得税から独立し、戦後、アメリカ人のシャウプ氏によって整備され現在に至ります。

法人税法を語るうえで学者の間で二分する意見があります。「法人擬制説」と「法人実在説」です。

法人擬制説は株主集合体説ともいわれます。法人の本質は個人(出資者)の集合体であり、最終的には法人の稼出した利益は法人に出資する個人に帰されることになるので、法人はフィクションにすぎないとする考え方です。

法人実在説は法人独立課税主体説ともいわれます。法人は個人の集合体ではなく、個人とは独立して社会的に影響力を有する実体(納税義務者)であると捉え、法人税は法人の所得に独自の担税力が認められて課税されるのは当然であるという考え方です。

現行法人税法は、法人に対し独自の税を課していることからすると法人実在説が採用されているように思われます。
 しかし、税法は法人擬制説に立脚しています。日本の法人税法は法人擬制説を採用している、つまり、フィクションに対し課税しているって、おかしくないですか?それではなぜ、フィクションに課税するのでしょうか。

1つの答えは、国にとって便利だからです。先に触れた税法立法の立役者であるシャウプ氏は、次のように述べています。
「すべての法人がその利益全体を直接配当の形で分配し納税者が受取った配当を完全に申告するならば、問題はないであろう。
かりに法人の利益が関係株主の所で課税されるとする限り、法人に対しては、いかなる課税を行う理由はないであろう」(シャウプ使節団日本税制報告書)。

換言すれば、法人税とは、行き着く先は所得税であるということです。国は全国民の全所得の把握が、その数の多さから困難であるので、法人段階で課税してしまう方が、徴税技術上容易です。
 法人課税は膨大な税収を挙げる可能性を秘めるうえ、個人の財布に直接影響しないので、重い税負担に対する国民的不満を和らげることができます。
俗にいう「取りやすいところから取る」の典型と言えるでしょう。法人に法人税を課している根拠としては、フィクションへの課税という点において、明確なものがあるわけではなさそうです。しかし、それでも日本を含め、多くの国々ではその便利さから法人税法を採用しています。                        
(引用記事〆)











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