ところで、軽井沢における近年の別荘事情はどうなっているのか。前出の社長に尋ねてみると、「うちは30年以上ここで商売をしているけど、1店舗しかなくて事業規模が小さいせいもあり、業況にほとんど変化はないよ。逆に、ゲイツ氏の別荘建設後の景気に期待している」とのこと。
加えて、町内で3店舗を営業しているというA社の役員にも質問。「当社は不況と言われる中でも、比較的土地・建物の需要に恵まれています。別荘の建設現場が途切れたことはほとんどありません。聞くところによると、近年は他県の別荘を売り払い、ここで新たな別荘を求める富裕層が増加しているそうです」。
確かに、軽井沢は傍目(はため)にも分かるように、この5年間くらいで確実に変わってきている。
ひとつは、自転車利用者が増えたということ。これに伴って、至る所に自転車を貸し出す店舗が出店している。これにはいろいろな理由が考えられるが、自転車の性能が向上し、より乗りやすく安全になったことなども影響しているらしい。また、自転車のデザイン自体も優れている。
通年型のリゾート地へと変貌する軽井沢
また、軽井沢と言えば避暑地・別荘地としての印象が強く、冬場などはシーズン・オフという印象をお持ちの読者も多いであろうが、今ではこの考え方は通用しない。軽井沢は既に、通年型のリゾート地へと変貌しつつある。
その強力な原動力となったのが、「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」だ。同施設はかつてゴルフ場があった場所に、長野新幹線軽井沢駅とともに設けられた。これまでに、East・New East・New East Garden Mall・味の街・West・New Westの6つの店舗群が配置されている。
軽井沢・プリンスショッピングプラザの出現に伴って年間を通して顧客が訪れるようになり、この影響で、ツルヤ軽井沢店、マツヤ軽井沢店などのスーパーマーケットが取扱量を拡大。並行して、コンビニエンスストアなどの小規模店舗も相次いで出店した。
こうなってくると、冬期は閉鎖していた各種店舗も需要の高まりから通年型へと営業形態を変化させ、結果として、軽井沢は通年型のリゾート地へと変貌を遂げつつあるのだ。ただし、冬場の軽井沢は気温が低く積雪もあり、防寒と乗用車の冬用タイヤ装着は必須条件である。
軽井沢でおすすめのスポットとは?
では、軽井沢でおすすめスポットはどこか。前述の通り軽井沢は通年型のリゾート地へと変貌しつつあるため、ほとんどのリゾート客の要望に応えられるほど、多くの立ち寄りスポットを抱えていること間違いなしだ。
旧軽井沢メインストリート(旧軽井沢銀座)、旧三笠ホテル、雲場池、白糸の滝、千ヶ滝、碓氷峠、塩沢湖、浅間山、油屋旅館、つるや旅館、万平ホテル、軽井沢大賀ホール、ショー記念礼拝堂他、矢ヶ崎公園、堀辰雄文学記念館、セゾン現代美術館、小瀬温泉、ゆうすげ温泉、塩沢温泉、塩壺温泉、星野温泉トンボの湯、立ち寄りの湯 軽井沢千ヶ滝温泉……。枚挙にいとまがない。
“La volonte(ラ・ボロンテ)”でしばし休憩
遊びどころがあれば、休憩どころも必要だ。そこで、旧軽井沢ホテルの近くにある小洒落(しゃれ)たお店へ。この「La volonte」は森の中の小さなお店で、アーティストによるクラフトや雑貨を選りすぐって集めている。そして、ゆっくりと軽井沢を過ごせるカフェ・コテージも併設している。
筆者はここで、素朴な味のチーズケーキ(400円・税込み)とシナモンが掛かったカプチーノ(650円・税込み)を注文。手作りの味と静寂感のある店で浸れる幸せをかみしめた。ちなみにLa volonteは、4月中旬~11月下旬のみ展開している。
軽井沢は国際的なリゾート地へ!?
本題から逸れてしまったが、今回の取材のテーマ、ゲイツ氏の別荘出現で軽井沢はどんな影響を受けるのか?ということである。これに対する答えは簡単には出てきそうにないが、ある意味軽井沢がいよいよ、日本有数の避暑地から国際的なリゾート地へと、変貌を遂げる過程と見ることもできるのではないだろうか。ゲイツ氏別荘の完成は今冬と言われており、一体どういう影響が出てくるのか、注目せざるを得ない。
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