パナマ文書はどうやって世に出たのか  
小林恭子の英国メディア・ウオッチ
/25486824/ 2016年 04月 05日ukmedia.exblog.jp 
(ニーマン・ラボのサイトから)
 パナマの法律事務所「モサク・フォンセカ」から流出した、金融取引に関する大量の内部文書。これを元に「パナマ文書リーク」の報道記事が続々と出ている。

 いったいどうやって情報がメディアの手に渡り、各社の報道につながったのか。

 ウェブサイト、ニーマン・ラボ(4月4日付)とワイヤード(4月4日付)の記事から、要点をまとめてみたい。

 法律事務所の内部文書は1977年から2015年12月までの期間のもので、1150万点に上る。文書のサイズは2・6テラバイトに及ぶという。ウィキリークスの手によって世に出た米外交文書リーク(「ケーブルゲイト」、2010年)が1.73ギガバイトであったので、これの数千倍になるという。

 1150万の文書ファイルには480万の電子メール、100万の画像、210万のPDFが入っていた。

経緯は

 2014年末、ある人物が南ドイツ新聞の記者に暗号化されたチャットを通じて連絡をつけてきた。記者の名前はバスチアン・オベルマイヤー(Bastian Obermayer)。その人物は「犯罪を公にしたい」と言ったという。実際に顔を合わせず、連絡は暗号化されたチャンネルのみでだった。そうしなければ「命が危なくなる」からだった。

 オベルマイヤー記者とリーク者は常に暗号化されたチャンネルで連絡を取り合い、どのチャンネルを使うかは時々変えた。それまでのコミュニケーションの内容をその都度、削除したという。暗号アプリの「シグナル」、「スリーマ」や、PGPメールなどを使ったというが、オベルマイヤーはどれをどのように使ったかについて、ワイヤードに明らかにしなかった。

 新たなチャンネルで連絡を始める際には一定の質問と答えを用意し、相手がその人物であることを互いに確認した。

 文書の一部を受け取った南ドイツ新聞は非営利組織の「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ、ワシントンにある)に連絡した。ICIJは過去にも大型リークの分析を担当した経験があったからだ。ICIJのスタッフはミュンヘンにある南ドイツ新聞に出かけ、どう処理するかを話し合ったという。

 この間、ファイルは少しずつ南ドイツ新聞に送られていた。メールで送るには大きすぎるが、どうやって送られたのかについて、南ドイツ新聞はワイヤードに明らかにしていない。

 次に、ICIJのデベロパーたちがリーク文書を検索するサーチエンジンと世界の報道機関がアクセスできるURLを作った。サイトには報道機関の記者たちがリアルタイムでチャットできる仕組みも作られていた。記者同士がワシントン、ミュンヘン、ロンドン、ヨハネスバーグなどに集い、情報を交換もした。

 ICIJによると、リーク文書をそのまま公表する予定はないという。ジャーナリストたちが責任を持って記事化するよう、望んでいるからだ。

 リーク者を守るため、南ドイツ新聞のオベルマイヤーはリーク者との連絡用に使った電話やラップトップのハードドライブを破壊した。「念には念を入れたかった」。今でもリーク者が誰であるかは知らない状態だ。

 ワイヤードはメガリークの新たな時代が始まっている、という。
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 ニーマン・ラボの記事によると、受け取った情報の分析は南ドイツ新聞ばかりではなく、フランスのルモンド紙、アルゼンチンのラ・ナシオン紙、スイスのゾンタ―グツァイトゥング紙、英国のガーディアンやBBCなどが協力して行った。

 プロジェクトにかかわった記者は約400人。世界76か国の100以上のメディア組織が協力したという。

 日本では共同通信と朝日新聞がこのプロジェクトに参加した。
(記事引用)
aer@fwof@es

“パナマ文書” 匿名人物が情報提供か


“パナマ文書” 匿名人物が情報提供か
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租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの企業を通じ、各国の首脳らが金融取り引きをしていたとされる問題について、ドイツの有力紙「南ドイツ新聞」は1年以上前に匿名の人物から情報提供を受けたことが問題が発覚するきっかけだったと明らかにしました。

租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの国の1つ、パナマの法律事務所の文書が流出し、この中で、各国の首脳らが企業を通じて金融取り引きを行っていたとされる問題で、アイスランドのグンロイグソン首相が辞任を表明するなど、影響が広がっています。

これについて、ドイツの有力紙、南ドイツ新聞は、問題が発覚するきっかけは、1年以上前に匿名の人物がパナマの法律事務所の内部文書を持ち込んできたことだったと明らかにしました。

南ドイツ新聞は、身の危険を訴えていたこの人物と数か月間にわたってインターネットのチャットを通じてやり取りをし、1150万件に上る文書データを受け取った後、調査報道を行う国際的なジャーナリストの団体に連絡をし、共同でデータの分析を行ったということです。

一方、この法律事務所はロイター通信などに対し、「違法行為はしていない」と説明したうえで、「外部からハッキングされてデータが流出したもので、被害者はわれわれだ」と述べ、検察当局に告訴したことを明らかにしました。


中東各国の首脳や親族の名前も


パナマの法律事務所から流出した内部文書には、中東各国の首脳や首脳経験者、そしてその親族も多く含まれていました。

内部文書を公表した調査報道を行う各国の記者で作る団体ICIJによりますと、このうち、シリアのアサド大統領のいとこで、石油や通信部門などシリア経済に強い影響力を持つラミ・マフルーフ氏について、タックスヘイブンであるイギリス領バージン諸島にあるラミ氏の企業が、オーストリアのウィーンやスイスのジュネーブの銀行に多額の資金を預けていたと指摘しています。
さらに、その弟でシリアの情報局の元幹部、ハーフェズ氏も兄のラミ氏に加担していた疑いがあるとしています。

また、内部文書では、サウジアラビアのサルマン国王の名前も上がっています。ICIJによりますと、イギリス領バージン諸島にある2つの企業が、2009年、ロンドン中心部に豪邸を購入するため、合わせて3400万ドル(日本円で37億円余り)の住宅ローンを設定していたということです。サルマン国王の具体的な役割は明らかになっていませんが、ICIJはサルマン国王がこの企業とローンに関わっていた疑いがあると指摘しています。

このほか、UAE=アラブ首長国連邦のハリファ大統領やイラクのアラウィ元首相、それにエジプトのムバラク元大統領の息子など、中東各国の首脳や首脳経験者、それにその親族の名前が多く含まれていました。

スノーデン氏「史上最大のリーク」

世界中に影響が広がっているパナマの法律事務所から流出した内部文書について、アメリカの情報機関による大量の個人情報の収集を告発し、ロシアに亡命しているCIA=中央情報局のスノーデン元職員は3日、自身のツイッターで「データジャーナリズムの歴史で最大のリークだ」とコメントしました。
スノーデン元職員は、その後もアイスランドの首相の辞任の表明を巡る動きなどこの問題について、繰り返しツイッターでコメントしていて、高い関心を示していることがうかがえます。

(記事引用)