EVにまつわる数々の「うそ」 既存産業が保身のため拡散
フォーブス ジャパン2018年07月05日 11:30
石油業界と自動車業界では、電気自動車(EV)に関する誤った情報を流布する試みが露骨さを増している。その目的は、地球環境や人々に害を及ぼすとの認識が日々高まるビジネスモデルを守ることだ。この問題については、英紙ガーディアンや米CNBCテレビなどが報じている。
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こうした偽情報の中には、EVは従来型自動車よりも大きな汚染源であるとするものがあるが、この説はこれまで再三に渡り否定されてきた。多くの州や国では持続可能な発電への切り替えが進んでいる。仮に化石燃料から発電する場合でも、EVの使用によって都市部の大気汚染は大幅に改善できる。

ほかの虚偽情報としては、交通手段は真の問題ではなく、汚染の実際の原因は暖房や産業だとする主張がある。だが実際には、乗用車やトラックの排ガスは二酸化炭素排出量の3分の1以上を占めている。そのうちの多くが、私たちが住み働く場所で排出されており、排出量を少しでも減らせれば私たちの生活改善につながるだろう。

また、EVは高過ぎるとか、航続距離に不安が残るといった声もある。だが、EVの航続距離は伸び続けており、既に化石燃料車の航続距離に近づいたり、さらにはそれを超えていたりする場合もある。メルセデスによると、同社の次世代EVの航続距離は500kmに到達した。さらにテスラは、次世代ロードスターなどで約1000kmの航続距離を実現する予定だという。これらEVは一般向けではないかもしれないが、このトレンドは明らかだ。バッテリー性能の飛躍に伴い、EVの走行距離は伸びる一方なのだ。

バッテリーもまた、偽情報の標的となっている。バッテリーはリサイクル不可能な希少鉱物がなければ製造できない、という主張だ。まず、バッテリーはリサイクル可能だ。バッテリーの材料は完全に再利用可能であり、さらに一般的な認識とは異なり、使用や時間経過によって劣化はしない。厳密な研究の結果、バッテリーの劣化率は3万km毎に約1%と、内燃機関よりもかなり効率が良いことが示されている。

全てのEVを充電するのには発電能力が不足している、との偽情報を広め、恐怖を煽る者もいる。英国では、国内のエネルギー供給事業者団体によりこの主張が既に否定されている。同団体によると、メンバーとなっている事業者らは今後数年間に生産されるEV数百万台分を超える電力を供給できる見通しだという。

メンテナンス性はどうだろう。従来の内燃エンジンは、潤滑油や定期交換が必要な1万個以上の可動部品でできている。マイカー持ちなら誰しもが知るとおり、部品の交換は非常に高くつく。一方、一般的なEVの可動部品の数は18で、劣化率は低く、内燃エンジンと比べメンテナンスの必要性も圧倒的に少ない。

私たちは、ハイブリッド車を完全に飛び越え、EVへの移行を迅速かつ効率的に進める必要がある(ハイブリッド車は非効率的であり、その唯一の目的は、今すぐにでも販売が禁止されるべきである時代遅れのテクノロジーとなった内燃エンジンの延命だ)。これから自動車の購入を検討している人は、ディーゼル車、ガソリン車、ハイブリッド車は忘れ、EVを選ぶべきだ。

スペインなどの国々では、自動車業界が今も”技術中立性”という虚構に基づく主張を持ち出しているが、その実態は中立的なものとは到底言えない。実際は極めて長い移行期間を作り出すことにより、既に倫理的にも企業の社会的責任の面からもすべての限界を超えている旧来の産業を守ろうとしているだけだ。

交通の未来については、うわさや半分だけの真実、あからさまなうそではなく、事実に基づいた議論をしようではないか。

EV(電気自動車)は本当にエコカーか
大西宏 2017年12月11日 11:50
世界各国がEV(電気自動車)ポピュリズムとでも言うのでしょうか、遅れてはならじと、つぎつぎに、ガソリン車やディーゼル車を規制し、EVへ切り替える政策が発表されてきています。ドイツはディーゼル車の排ガス不正で次世代の自動車市場をリードする技術を失ったためにEVで再び技術優位を生みだそうという思惑、中国は、ガソリン車やディーゼル車では、とうていドイツや日本には追いつけないため、EVにシフトし、国内産業に競争力をもたせようという思惑などもからみ、なにかEVは国策合戦の様相を帯びてきました。

(記事冒頭引用)